理事長挨拶

写真 鷲見正敏

 

「脊椎脊髄病」に対する治療成績は、この20年あまりの間に飛躍的な発展をとげています。多数の臨床研究による実証に基づいた病態解明、インストゥルメンテーションあるいは手術技術の発達、手術用顕微鏡・脊髄モニターリングなど手術成績を向上させる道具の進歩など種々の要因が寄与することで、過去と比較しても多くの症例がより良好な経過をたどることができるようになってきています。しかし、一方では、依然として未知の領域が「脊椎脊髄病」分野には存在すること、手術侵襲の増大化傾向、小侵襲手術のための技術修得の問題、治療基準とくに手術適応と手術術式の多様性などいくつかの問題点も指摘されています。

このように、まだまだ成熟し切らず、混沌としたところの残っている「脊椎脊髄病」治療をさらに発展させることと、「脊椎脊髄病」を専門として伸びようとしている若手医師の技術や知識修得を援助するということを主な目的として、神戸大学医学部整形外科出身の日本脊椎脊髄病学会指導医が中心となり、特定非営利活動法人「兵庫脊椎脊髄病医療振興機構」(Hyogo Organization for Spinal Disorders: HOSD)を立ち上げました。本会は「脊椎脊髄疾患についての実証に基づいた医療の開拓とその予防、医療技術の普及、そして疾患・病態の啓蒙を通じて治療学の発展や患者さんの健康福祉に寄与する」ことをその趣旨としています。

具体的な活動内容は、多施設共同研究による実証の探求、若手医師の海外学会発表や英文論文作成の支援、アジア地区など海外からの研修医師受け入れ支援、一般市民に対する啓蒙活動としての市民講座活動、側弯などの検診事業への関与、専門医あるいは専門医を目指す若手医師や一般医師を対象とした講演会開催など多岐にわたっています。本会の発足は平成23年3月1日と、活動期間はまだ短く、大きい実績を伴っているわけではありません。しかし、長期的な視野に立って、本会が「脊椎脊髄病」分野における知識や技術の発展・獲得、そして治療体系の確立といった面に、たとえ微力であっても寄与することができればと念じています。今後のわたしどもの活動にご期待下さい。

特定非営利活動法人兵庫脊椎脊髄病医療振興機構
理事長 鷲見正敏
(神戸労災病院 院長)