はじめに

特定非営利活動法人兵庫脊椎脊髄病医療振興機構
理事長 鷲見正敏
(神戸労災病院 院長)

「脊椎」というのは「首」や「腰」そして「背中」といった身体の各部位を支えている「背骨」の専門的な呼び名です。また、「脊髄」は、その脊椎の中にある「脊柱管」という孔の中を通っている神経の呼び名です。つまり、「脊椎」は脳の入った頭蓋骨や身体の各部分を支えて、人間が、立ったり・座ったり・移動したりという基本的な動作をする際に身体を支える柱(脊柱)の役割と、そして手足を動かそうという脳からの命令を伝達する「脊髄」などの神経組織を保護するという二つの重要な役割を担っています。だから「脊椎・脊髄」の調子が狂って「病気」(脊椎脊髄病)になると、様々な障害が発生することになります。みなさんがよくご存知の「椎間板ヘルニア」、「ぎっくり腰などの腰痛症」「腰部脊柱管狭窄症」「圧迫骨折」「靭帯骨化症」などがこの脊椎脊髄病で、通常の生活を送ることも困難な状況に追いやられてしまいます。これらの病気(脊椎脊髄病)に罹った場合には、薬の服用、ブロック注射、コルセットなどによる固定、電気を当てるなどの理学療法、リハビリといった保存的治療を受けることになります。あるいは、これらの保存的治療が無効の場合には、手術治療を受けましょうと勧められることになります。

「脊椎脊髄病」の病気の状態(病態)や治療方針、手術法についての知識や技術は、最近のこの20年程の間に飛躍的な進歩を遂げてきました。しかし、通常の診療の場においては、まだまだ、患者さんの間からは「脊椎の手術は怖い」とか「病気の状態がもう一つ理解しにくい」といった声が聞こえてきます。また、医師の側においても、これらの飛躍的な進歩を維持することの困難さやさらなる進歩を求めて臨床の場で研鑚することの肉体的あるいは精神的な大変さが指摘されています。

そこで、神戸大学医学部整形外科出身の脊椎脊髄病を専門としている医師が中心となって、平成23年3月1日、特定非営利活動法人「兵庫脊椎脊髄病医療振興機構」(Hyogo Organization for Spinal Disorders: HOSD)を立ち上げました。本会は「脊椎脊髄疾患についての実証に基づいた医療の開拓とその予防、医療技術の普及、そして疾患・病態の啓蒙を通じて治療学の発展や患者さんの健康福祉に寄与する」ことを趣旨としています。
活動を通じて、兵庫地区あるいは関西、ひいては日本全体あるいは全世界のレベルで、脊椎脊髄病についての知識や技術の進歩・発展に寄与することができればと思っています。会が発足してから短期間しか経過していませんので、まだまだ実績を伴うとまでは申せませんが、長期間にわたる視野に立って、脊椎脊髄病治療の発展に繋がるよう努力したいと存じます。