会長挨拶

第52回日本小児股関節研究会開催にあたって



兵庫県立こども病院 整形外科 部長
薩摩 眞一
 この度、第52回日本小児股関節研究会を『こども達の力強い歩みのために』というテーマのもとで開催させていただきます。神戸での開催は第4、7回の香川弘太郎先生、第37回の司馬良一先生に続き4回目の開催となります。平成8年に兵庫県立こども病院着任以来、小児整形外科とりわけ小児の股関節疾患治療に邁進してまいりました私にとって、伝統あるこの研究会を主宰させていただくことは身に余る光栄と存じております。
 本研究会の前身である先天股脱研究会が昭和46年にスタートして以来約40年を経て、多くの諸先輩方のたゆまぬ努力と研究成果により、小児股関節疾患の病態や治療方針に一定の指針が示されてきました。しかしながら、個々の疾患で見てみると特にその難治例においては治療方針にコンセンサスが得られず、治療成績も不安定である病態が依然として私たちの目の前に立ちはだかっています。今回の研究会では治療方法になお議論を要するこれら病態を取り上げ主題とパネルを組みました。「DDHに対する観血的整復術」では手術成績からみて、今までの適応は正しかったのかどうか。もしそうでなければ徹底的に保存的整復にこだわるのか、そしてその限界はどこにあるのか、などの議論を通じて観血的整復術の適応を再考していただきたいと考えています。「高度遺残性亜脱臼に対する治療」では、昨年議論された対象よりさらに高度な遺残性亜脱臼の治療に明確な指針を出すことができればと考えております。すなわち、アプローチは臼蓋側なのか大腿骨側なのかあるいはその両者なのか、関節内操作の必要性はあるのか、などについて議論していただきたいと思います。「脳性麻痺股関節脱臼・亜脱臼の手術適応と方法」ではこの分野でご活躍の先生方を中心に、麻痺の重症度をある程度統一していただいたうえで活発な議論をしていただきたいと思っております。さらに今回の目玉企画として、「年長児発症ペルテス病の治療」については演者を保存派と手術派に分け、ディベート形式でのディスカッションをしていただこうと考えています。
 教育研修講演はお二方にご依頼いたしました。ランチョンセミナーでは神奈川リハビリテーション病院の杉山 肇先生に「小児股関節疾患に対する関節鏡の有用性」について、また特別講演として九州大学の中島康晴先生に「Dysplastic hip 成長終了後の遺残変形」についてそれぞれご講演をいただく予定です。
 例年研究会の開催が梅雨の時期と重なり天候についてはまさしく運を天に任せるしかありませんが、会場である神戸国際会議場は空からも陸からもアクセスの良いところにあり、港町神戸には天候にかかわらず楽しめるスポットもたくさんありますので、この機会に観光をされるのもお薦めかと思います。スタッフ一同みなさまのお越しを楽しみにお待ちしております。また開催中、何かと不備な点があるかもしれませんが、みなさまのご協力により実りある研究会にしたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。